癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
隊長は苦しみながらその場に崩れ落ちた。そのままバスクはベンの前に移動すると、隊長の血が着いたままのサーベルで、ベンを繋いでいる縄を切った。そして、そのサーベルをベンの喉元に突きつけ、
「癒しだったら治せるだろう。」
と言ってから、サーベルを振り血を切ると、鞘に戻した。それからバスクは王座に座ると肘をつき、ベンを眺めた。
ベンはゆっくりと立ち上がり、倒れた隊長の元へ行くと、跪き両手を組んで、
「天に御座します我らが光の神よ。我に癒しの力を与えたまえ。」
と、祈ると、ベンの手にたちまち光の玉が現れた。ベンは隊長の傷口に光の玉をそっと置いた。光の玉はスウッーと傷口に吸い込まれ、何事もなかったかのように綺麗に傷が消えた。ベンは傷を治すと、バスクに向かって、
「こんなことは許されない。」
と、小さい声だが、怒りのこもった声で訴えた。
「はっはっはっ!こいつは利用出来る。良くやった。丁重に閉じ込めておけ。」
と、言い放つと、バスクは玉座の間を出て行った。
ベンはまた、二人の兵士に取り押さえられ、監禁用の部屋に連れて行かれた。
監禁用の部屋は窓がなく、狭くて殺風景だが、床も壁も石で出来ていたが、ベッドと机と椅子もあり、牢屋より遙かに快適な空間だった。後から来た隊長が、
「先程は、ありがとうございました。申し訳ないが、ここでお過ごしください。」
と、ベンに言った。ベンは隊長に向かって、
「あんたも、仕える主を考えた方がいい。」
と、言ったが、返事はなく扉がバタンと閉められ、ガチャっと鍵が掛けられた。