癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
「うわぁ、綺麗!」

庭園に着くと、花々の美しさに、ソフィアの声が漏れた。アーチ状の花のトンネルがあり、ソフィアはロエルの腕から手を離し、思わず駆けだした。

「だろ?」

ロエルが自信に満ちた顔で微笑んだ。

「こんな美しい花、森では見たことがないわ!」

美しい花々を見ながら目を輝かせるソフィアをロエルは優しい眼差しで見ていた。

一際美しく咲いてる真っ赤なベルベット素材のような花びらを持つ花に、ソフィアの視線は釘付けになった。それに気づいたロエルが、

「この花は、薔薇と言うんだ。市場から取り寄せた種で、ちゃんと手入れをしないと咲かないんだ。」

「市場?」

と、聞き返し、ロエルの方に振り返るソフィアに、

「行ったことはないのか?」

と、ロエルが不思議そうに聞いてきた。

「ええ。小さい時から、街は危ないからって、森とドラゴン渓谷以外は行ったことがなくて。」

「よし、じゃあ、体力が戻ったら街の市場を案内しよう。」

「いいんですか?」

「もちろんだ。」

ソフィアは嬉しさのあまり、足元を見ずに早足になり、石畳の少しの窪みで躓いてしまった。身体がよろけ、倒れそうになったが、ロエルの逞しい腕が倒れるのを防いでくれた。

「ごっごめんなさいっ!」

焦りと恥ずかしさで真っ赤になったソフィアは自分の身体に当てられたロエルの腕をほどきながら謝った。
その表情をロエルは優しく見つめながら、

「まだ手を離すのは危ないな。」

と、言ってソフィアと手を繋いだ。

「もう、大丈夫ですので。」

と、言って、繋いだ手を解こうとしたが、

「ダメだ。」

と、ロエルは言い、ロエルの大きな手はガッチリとソフィアの手を握っており、ソフィアのかわいい抵抗では外すことは出来なかった。ソフィアは軽く抵抗したが、敵わないと思い、すぐに諦め、ロエルと手を繋いだまま歩いた。




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