癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
日が沈み、夜も更けた頃。

ソフィアはアンにバレないよう、1度は寝間着に着替えていたが、そっとベッドから抜け出し、ソフィアが元々着ていた動きやすい服に着替えた。

隣の部屋でアンが寝ているので、ソフィアは音を立てないよう、細心の注意を払いながらゆっくりと行動した。

枕の下から小瓶を出し、ゆっくりと慎重に音を立てないようコルクを抜いた。

極度の緊張状態の中、ソフィアは、小瓶の中の薬を、勢いよく飲み干した。

「うっ…。」

身体中に痛みが走った。苦しくて辛いがソフィアは必死に耐えた。

痛みが和らいでくると、自分の手がどんどん薄くなって消えて行った。

ソフィアは半信半疑になりながらも、恐る恐るドレッサーの鏡の中を覗いた。

驚いた…ほんとに見えなくなってる。

ソフィアは自分の姿が見えなくなっていることを確認すると、扉に向かった。

そっと扉を開け、廊下を確認する。廊下の奥に衛兵が二人立っているのが見えた。

ソフィアはゆっくりと最小限に開けた扉の間から部屋の外に出た。そして音を立てないよう慎重にそっと、扉を閉めた。

廊下もゆっくり慎重に歩く。音を立てないよう忍び足で歩く。二人の衛兵の近くまで来た。ソフィアは気配を押し殺し、息を潜めて二人の間を通り抜ける。
すると、一人の衛兵が、

「おい!」

と声を出した。ソフィアはびくりとした。

見えてないはずなのになぜ??

「どうした?」

もう一人の衛兵が答える。

「今、何か通らなかったか?」

「はぁ??何もないじゃないか。」

「そっか。そうだよな。」

衛兵は自分に言い聞かせるように言った。

さすが城の衛兵だけあって、敏感だ。
ソフィアはバレなかったことに安心すると、急いでその場を後にした。
< 93 / 109 >

この作品をシェア

pagetop