【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
かわいい音が鳴るのに、遼雅さんの瞳の熱は、ずっと狂暴なままだ。


「ゆず」

「し、しつもん、こたえます」


あやしい瞳の揺らめきで、叫ぶようにつぶやいていた。掠れてうまく声にならなかったのに、遼雅さんの顔がふわりとほころぶ。


「柚葉さんも、同棲経験はありますよね?」


断定的な言い方に、おどろいている。けれど、想像していたよりも断然答えやすい質問で、肩の力が抜けてしまった。


「え……、そ、んなことですか?」

「うん? どんな質問がよかったの?」


指先が頬をなぞる。あくまでも笑っている人に、焦って、隠すことなく口を開いた。


「あ、りますよ。すこしだけ」

「なるほど。じゃあ、どれくらい続きました?」

「あ、れ。まだ質問、つづきますか?」

「うん。何でも知りたいって、言ったでしょう」

「うーん、そんなに長くは。……半年くらい、ですかね」

「半年か。すぐ抜きそうですね」

「抜く?」

「俺と柚葉さんが、です」

「あ、え……、そ、うですね?」


すこし、満足したのだろうか。たのしそうな人が、隙を見て、唇に口づけてくる。

もうずっと、とろけてしまいそうな瞳に、射抜かれている。

見つめあって、ぎらぎらしたまま、もう一度唇に触れられた。今にも噛みついてしまいそうな距離で、やわく囁かれる。
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