【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
一緒に作ったご飯を食べている間、遼雅さんはどこからどう見ても上機嫌な雰囲気だった。
どの角度から見てもにこにこと笑っていて、見つめるたびに「うん?」と声をかけてくれる。
お夕飯で食卓を囲むこと自体が久しぶりだから、遼雅さんとゆっくりご飯を食べていられる時間はものすごく貴重なもののような気がする。
「遼雅さんは、食べるのがきれいですよね」
「そう?」
「はい。はじめてお食事に行った時にも思っていました」
「あはは。あの喫茶店で、そんなこと思ってくれていたんだ」
あの日の遼雅さんは、ほとんどずっと申し訳なさそうな顔をしていた気がする。対する私はあんまり深く考えてもいなくて、逆に遼雅さんに心配させてしまったほどだった。
あの誠実で、気遣い上手の遼雅さんが、こうして私とゆったりとご飯を食べながら微笑んでくれるようになるなんて、すこしも思わなかった。
「俺も、柚葉さんがかわいい口で、ご飯を食べているところを見るのが好きです」
「ええ?」
「柚葉さん、ご飯を食べる時、いつもかわいい顔してますよ」
「かわいい顔? まぬけな顔じゃないですか?」
「あはは。かわいいです。ものすごく。……どれくらい見ていても飽きない」
「それは、言いすぎです」