【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
まさかの返しにあってしまった。
小さなころから両親にも姉にも、そして義理の兄にも「美味しそうに食べてくれるね」と言われながら育ってきていた。
壮亮には「アホ面しながら食うな、ボケ」と言われてしまったから、それまで、身内の評価にあまえきっていた自分が恥ずかしくなったことを覚えている。
「そうくんには、アホ面だって言われます」
「そうくん?」
「あ、壮亮です。……峯田くん」
「ああ、峯田さん」
「私、実家ではずっとあまやかされてきた自覚があって。その、そうくんが、ばしっと言ってくれるので、ちょっとそれで、社会性が身についたというか」
「社会性?」
「……むかしは、思ったこととか、全部顔に出ちゃうほうだったんです。それもそうくんにたくさん言ってもらって、ようやく直せたんです」
壮亮との出会いは小学4年生だった。
突如現れた転校生が隣の席になった私はかなり浮かれていて、毎日うるさいくらいに声をかけ続けてしまっていた。
壮亮は昔からちょっとした言葉遣いで誤解を生みやすくて、周りからもこわい男の子だと思われてしまっていた。
無視されてもめげずに話しかけ続けて、ようやく言われた言葉が「うるせえブス」だったことを覚えている。