【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

結婚をすると報告されたのも、なぜか蕎麦屋だったことを覚えている。その週の金曜は、ちょうど祝日で、柚葉から“ランチしよう”と連絡が来ていた。

柚葉のマンションは俺のマンションから駅一つ分の距離にあるから、いざというときには駆けつけてやることができる。

ここまでしている義理は全くないのだが、あの顔で犬のようについてこられると、どうしても悪いようにしてやりたくないと思ってしまうから、俺は損な性格だ。

第一に治安がいいこと、第二に女性専用で管理体制がしっかりしていること、第三にいざというときに俺が助けに行けることを考えて物件を選んだ。

柚葉は俺と行動している間、基本的には「そうくん、すごいね」「そうくん、かっこいい」「そうくんが良いと思うなら、いいかなあ」と言ってくるアホ具合で、どう考えても一人で生活なんてできなさそうだ。

できなさそうなのに、家事能力は軽く俺を超えているからおかしい。

意外に仕事ができるらしいこともおかしい。俺と一緒にいると、どうしても末っ子スイッチが入ってしまうのだろうか。


「そうくん、私ね、結婚することになっちゃった」

「っぶ! け、けっこん、結婚!?」

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