【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか？【完】

柚葉は付き合っているつもりのない男から、彼女として接されることが多い。もう何度も見てきた。

だからこそ、柚葉が誰かと付き合うときは、一報を入れてほしいと話していた。


「あ、うん。ええとね」

「ああ」

「うーん、お付き合いは、していないの」

「……つづけろ」

「うん、その……、遼雅さん、こまってるみたいだから」

「こまってるみたいだから」

「つい……、OKしちゃった」

「……つい？　しちゃった？　で、結婚すんのか？」


言っている意味がわからなさ過ぎて、責めるような声をあげた。

柚葉も困り果てているのか、すこし黙り込んでから俺のほうを見る。

流されているようなふらふらした女のくせに、どこかのラインで、自分の意思で踏み込もうとする。だからまた、より柚葉に近づけていると相手を勘違いさせる。


「そう。結婚する。私で遼雅さんの力になれるなら……、いいかなあって思ってるんだ」


それは、好意なのだろうか。


柚葉を好きになると、地獄を見る。

俺の初恋は長かった。

本当に、血を吐くほど長かった。もう、二度とこいつをそういう目で見たくない。

好きになって、ほだされて、誰よりも近くへ行けるようになったと錯覚して、簡単に壊される。

ひどい地獄だ。