【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
柚葉は姉夫妻にかなりのあこがれを持っているから、結婚相手もいないまま大学を卒業してしまうことについて、一週間くらいめそめそしていた。


『俺がもらってやろうか』


その言葉に、柚葉は何と声を返してきていただろう。


「どうせあいつと結婚するってわかってたし。別に驚かなかっただろ」

「ああ、まあ」


けろりと声に出した。柚葉から何度か聞いていたが、学さんは萌さんのことを幼馴染以上の存在として見ていたらしい。

萌さんの結婚相手もなかなかの美丈夫なのは間違いないが、学さんのことを考えると複雑な気分になるのは否めない。

知らぬ間に眉が詰まっていたことに気づいて表情を切り替える。俺の顔をちらりと見た学さんが、おかしそうに笑って手を伸ばしてきた。


「うわっ、な、なん!?」

「お前、ほんっと可愛いな~」


セットしてきたはずの髪をくしゃくしゃに乱されて、声をあげようにも学さんがあまりにも楽しそうにしているから、言葉にならない。

結構、わりとマジであこがれている人だ。

俺はサッカーの才能はまあまあで、結局高校でもインターハイの予選の決勝戦敗退が最終記録になってしまった。
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