半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 しかも、あの場所にはサイラスもいた。

 もう最悪である。あとで、結構お前も乙女ちっくな夢を見るんだな、フッ――なぁんて笑われたら、どうしよう。

「うぅ、カマルってば、余計なことしてくれちゃって……」
「俺、何かしました?」
「したわよ!」
「いてっ」

 恋成就の幸福いっぱいの彼にイラッとして、リリアはその頭に手刀を落とした。

 ――でも、ほんと、妄想していた『騎士様』だったのは、認める。

 くそぉ、とリリアは複雑な胸中だった。あの騎士服の所属紋、そして後ろにサイラスもいたことから、彼の騎士であるのは間違いない。

 社交の場では見掛けなかったけど、別行動だったのかしら?

 それとも、自分が気付かなかっただけなのか。

 お見合いの時には見掛けなかったから、そのあとに付いた騎士であるとは推測できるけれど。

「つまり、『先に知っていたら、福眼だったのにチクショー』と思うくらいに、まさに小説の挿絵から出てきたような『ヒーロー騎士』だったわけですね」

 カマルを離したアサギに、ズバッと言われてリリアは返答に窮した。

「べ、別に、結婚したいだとか、そんなことは思ってないわよ」

 大切なことだと思って、リリアは咳払いしたのち、ベッドの上で正座してそう言った。
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