半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
『いいからいいから!』

 そう言って、調子のいい狸に、ぐいぐい引っ張られた。

 ――狸は『いいから』と言っていたけれど、全然よくなかった。

 引っ張り出された先にいたのは、第二王子の婚約者である、半妖の伯爵令嬢リリア・レイドだった。

 なぜ、僕は例の婚約者に紹介されているのだろうか。

 コンラッドは、全く意味が分からなかった。

 混乱して考えていると、唐突に狸が、好みの異性のタイプなのだかとかなんとか、元気いっぱい大きな声で言い出して、いや頼むからやめてくれと思った。

 遠くからチラリと顔を見たことはあったが、あんな正面からリリア・レイドの姿とお顔を見たのは、はじめてだった。

 真っ赤になった顔が、大変愛らしい令嬢だった。噂で散々「傲慢っぽい」だとか、「冷たい」だとか聞いていたけれど、近くで見る限り、そういったことは感じなくて。

 あ、これ、殿下と同じツンタイプなのでは、と正直思ったりもした。

 つまりプライドが高い。でもサイラスを見慣れているコンラッドからすると、リリアの方はかなり素直そうで、感情が直結しているような頭の狐耳もあって、愛らしさを覚えた。
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