半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 学院で、リリアのそばをトコトコと歩くフィンの存在は目立った。

 彼は授業を受ける場所に入れば「ご迷惑はおかけしません」と賢く先に述べ、教授をポカンとさせた。

「いつも姫様――っと、わたくし達のリリアお嬢様が、大変お世話になっております。狐のフィンでございます。何卒、よろしくお願い致します」
「これは、親切にどうも……えっと、君用の椅子も用意した方がいいのかな」
「いえ、わたくしは床で結構です。どうぞ授業をお進めください」

 授業がされている間、フィンはふわふわの尻尾を揺らしながら、時折理解した様子で「なるほど」と呟いて首を傾げたり、物珍しそうに眺めていた。

 移動の時は、しっかり教育を受けた犬のようにリリアの一歩後ろを歩く。

 授業を受ける時は、ずっと静かに聞き入っていた。

 一見すると普通の〝狐〟なので、居合わせ生徒達はざわっとしていた。決してリリアの邪魔はしない。賢い狐である。

「昨日は狸で、今日は狐だ……」
「しかも、またお喋りができる動物だわ……」
「俺、さっきぶつかりそうになったのをよけたら『これはどーも』て言われた」

 遠目から眺めている年下の令息が、ドキドキした様子で胸を押さえていた。
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