半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「姫様の、仔狐の歯も成長期という大事な時期に入っています」

 チェックしてアサギが言った。

「ああ、それでむずむずする感じがあるの? これ、時々ムズムズッて強くなって、イラッとするんだけど」
「狐姿で何かをバリバリ噛んだりしてやると、スッキリして少しの間はなくなりますよ」
「やだ。父様をぎゅーっと出来なくなるからっ」
「リリアッ、なんて可愛いことを言ってくれるんだ!」

 わーいとツヴァイツァーがリリアを抱き上げた。抱き付き癖は、一緒に暮らせない母の分も甘やかしまくっている父のせいでもある。

 そのそばで、アサギが使用人達に世話の指示説明をしていた。メモを取って聞き入った料理長は、リリアのいつもの食事に、固めに焼いた鳥の丸焼を必ず付けるようになった。


 そんな日々が一ヶ月続いたのち。

「……まずいな。どうしろってんだよ」

 ツヴァイツァーが、苛々した様子でテーブルに置いた手紙を指先で叩く。

 王宮から届いていた手紙の内容が、ぜひ第二王子との婚約を前向きに考えてくれないだろうか、という明確な文面に変わったのだ。
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