半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「気晴らしに、何かしますか?」

 タイミング良く、アサギがそんなことを言ってきた。

 リリアが見つめ返すと、彼はにっこりと笑う。

「領地の空を飛んで、ぐるっと散策してくるのも、面白そうですよ」
「うーん、でもなぁ……ほんとに、今はそんな気分でもなくって」

 その時、リリアの声は、勢いよく開かれた扉の音に遮られた。

「お嬢様大変です!」
「うわあぁぁ!?」

 唐突なことで、直前まで警戒心ゼロだったリリアは、思いっきり叫んでしまった。

 飛び込んできたのはメイドだった。彼女は、ベッドから少し浮いたリリアを見て、遅れて「あ」と口元に手をやる。

「すみません。急ぎだったもので、つい」
「あ、いや、いいんだけど」

 放電せずに済んで良かった。そうドキドキしながら思ったリリアは、ハッとした。

「えっ、まさか、父様に知られたりしたの? あいつから、もう返事が!?」
「なんのことですか?」
「まぁ姫様のことはお気になさらず」

 メイドに飛んで迫ったリリアを、ぐいーっと横によけてアサギが問う。

「それで? こんなに慌てて、何があったんですか?」
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