半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「ほんと大きくなっていくなぁ。どんどん、大人に近づいていく気がするよ」

 ただ一人、ツヴァイツァーだけが、のほほんと娘の成長を噛み締めていた。

 父を見下ろすなんて、ちょっと恥ずかしい。遅れてちらりと頬を染めた狐のリリアに、アサギが小さく息をもらして、自分も狐姿となった。

「まっ、大妖怪にとっては、このサイズも〝仔〟ですからね。オウカ姫と比べれば、全然顔も幼いですし」

 二本の優雅な尾を持った、立派な黒狐。しかし金色の毛並みを持ったリリアの妖狐姿と並ぶと、そんなアサギの方が子に見えるほど大きさは違っていた。

 黒狐になったアサギへ、ツヴァイツァーが目を向けた。

「アサギ、リリアのことは任せたよ。どうか無茶はさせないで」
「勿論ですよ。姫様は、我々にとってかけがえのない〝姫〟ですから」

 その間にも、リリアは頼もしく空へと駆け出していた。

「大丈夫よ父様、私、結構強いんだから」

 その声が降り注いだ直後、金色の妖狐がぐんっと速さを増して、一気に空の向こうに遠くなる。黒狐アサギが「ったく、あの仔狐は!」と言いながら、あとに続いた。
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