半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「今のところ、姫様のことを知っているのはウチの領民くらいですし。外を行き来する際、彼らは多分『可愛らしい子』『普通の子』と話していると思うんですよ」
「まぁ、そうだろうな。ウチの子、ちょー可愛いし」
「ウチの仔狐は、最高に可愛いです」

 うんうんと、アサギがそこには同意する。

「そうすると、国王達は狐耳があるのを知らないで、第二王子を〝説得している〟可能性は考えられませんか?」

 そう促されて、確かにとリリアと父は思う。

「当の殿下が、もし生粋の人外嫌い思考だったとして、もし姫様のチャームポイントを目の当たりにしたら、やっぱり無理だと断る可能性を期待したのですよ――いかがですか?」

 話したアサギと、ツヴァイツァーの目が同時に向く。リリアもつられて、自分の頭の上にある狐の耳へと意識が向いた。

 しばし、考える間が置かれた。

 リリアの獣耳が、ぴこぴこっと動いた。

 その途端、ツヴァイツァーが、だらしなく笑って彼女の頭を撫でくりした。

「俺のリリアは、ほんと可愛いなぁ」
「ふふっ、私、父様に撫で撫でされるの好きよ!」
「リリアッ、俺もリリアが大好きだよ! さぁパパが抱っこして――いってぇ!」

 直後、アサギが素早く頭を叩いて、ツヴァイツァーを止めた。
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