半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
タヌマヌシが、ふんっと大きな鼻息を上げて大地を踏みしめた。
「妻の目を盗んで、ようやくこっちにきたのだ! 鬱憤を晴らさせてくれるっ!」
「じゃあこっちは力づくで帰してくれるわ! ついでに、あんたの奥さんにも、チクる!」
「こ、こらっ、いい年頃の仔狐が『チクる』なんて言葉を使っちゃいけません! そ、そもそも妻に言うとは卑怯だぞっ、どのオスも妻にはめっぽう弱いんだ……」
ごにょごにょ、と一瞬、タヌマヌシのテンションが下がる。
直後、咆哮したリリアの雷撃と、一瞬にして戦闘モードに戻ったタヌマヌシの妖術が衝突していた。
その衝撃でいよいよ風は吹き荒れ、バリリリィッと雷が走る。
牙を剥いた大きな二頭の獣のさまは、人間にはまさに暴れ狂ったような〝怒り〟を体現しても見えた。互いが牙と爪をむき出しに、妖力もぶつけ合っての大喧嘩となった。
その時だった。不意に狐姿のリリアの耳が、地上からの微かな物音を拾った。
それは吹き荒れる風の合間に、混じった人の悲鳴だった。
……ん? 悲鳴?
そちらに目を向けて、リリアは目を剥いた。
「妻の目を盗んで、ようやくこっちにきたのだ! 鬱憤を晴らさせてくれるっ!」
「じゃあこっちは力づくで帰してくれるわ! ついでに、あんたの奥さんにも、チクる!」
「こ、こらっ、いい年頃の仔狐が『チクる』なんて言葉を使っちゃいけません! そ、そもそも妻に言うとは卑怯だぞっ、どのオスも妻にはめっぽう弱いんだ……」
ごにょごにょ、と一瞬、タヌマヌシのテンションが下がる。
直後、咆哮したリリアの雷撃と、一瞬にして戦闘モードに戻ったタヌマヌシの妖術が衝突していた。
その衝撃でいよいよ風は吹き荒れ、バリリリィッと雷が走る。
牙を剥いた大きな二頭の獣のさまは、人間にはまさに暴れ狂ったような〝怒り〟を体現しても見えた。互いが牙と爪をむき出しに、妖力もぶつけ合っての大喧嘩となった。
その時だった。不意に狐姿のリリアの耳が、地上からの微かな物音を拾った。
それは吹き荒れる風の合間に、混じった人の悲鳴だった。
……ん? 悲鳴?
そちらに目を向けて、リリアは目を剥いた。