半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 その時、リリアの頭を不躾にじろじろと見続けていたサイラスが、のんびりと見守っているアサギへ視線を移して「ふんッ」と鼻を鳴らした。

「そっちの執事は、人外か」
「あら、嫌ですわ殿下。人外は差別言葉ですわよ。――もっぺん社交辞令と常識を学習し直した方が、よろしいのではございませんこと?」

 間髪を入れずリリアが言い放った瞬間、サイラス側の人間達が凍り付いた。

「あ?」

 剣呑な声を上げたサイラスが、あからさまに表情にも出して嫌悪感をまとう。

 十二歳の少年であるのに、馬が怯えるほどの殺気は見事としかいいようがない。しかし、生粋の人間令嬢ではないリリアは怖くもなかった。

 むしろ、自分こそが強くて偉い、という彼の態度が不快である。

 リリアとサイラスを中心に、不穏な空気が漂った。

 アサギが、頬をかきつつ二人を見下ろした。笑顔のまま固まっているツヴァイツァーを横目に確認すると、考えが決まったように、にんまりと笑みを浮かべた。
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