きみのこと、極甘にいじめたい。
はちみつ色の髪を春風にさらりと撫でられ、甘い雰囲気をまとった男子生徒。



けっこう見慣れてきた相手だって言うのに、


色白の肌、中性的で整った顔立ち、彼の全部に、気づけば目を奪われていた。



あたしの頭に落とした手刀を構えたままの彼はフっと笑って……。




「……へー。恋、したことないんだ?」




くっきり二重の目をのんびりと細めて、意地悪く問う。



「な……」



なんでここにいるの……!と叫びたいけど、ここは堪えて。



「ないですけど、恋なんて一度も、まったく。ぜんぜん」



すると、彼はふわっとあたしに近づき、耳もとに声を落とした。




「俺の記憶とは、なんか違うけど……。まぁいっか?」




至近距離で向けられているのは……どことなく悪意を含んだ微笑。



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