強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「……えっ」
廊下にいても聞こえてくるくらい教室の中は騒がしかったはずなのに。
クラスメイト全員がわたしの方を向いてピタリと止まる。
なるべく音を立てないようにそっとドアを開けたのに、なんでこんなに注目を浴びてるの?
「……っ」
どうしよう。
とても気まずくて、どこを見ていいのかわからない。
わたしが動けないでいると、クラスが少しザワついてきた。
聞こえてきたのは「あの子誰?」「え、転校生?」そんな言葉ばかり。
玲奈ちゃんに一瞬でバレたから、簡単にわかるものだと思っていたけれど、仮にも何ヶ月もの間一緒の教室で授業を受けていたわたしのことを誰もわかっていないらしい。
これはわたしだって言うべき?
クラスメイトにとっては知らない人が教室にいる状況なわけで……それはおかしいよね?
でも、誰なのかと直接聞かれているわけじゃないし。
時間が経てば経つほど、なかなか打ち明けるタイミングがわからなくなってくる。
「おっはよー!って、何この空気」
つくづく思うけれど、神風くんは毎回何とも絶妙なタイミングで教室に入ってくる。