強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
神風くんはしばらく手を止めてこちらを見るクラスメイトと何もできず固まるわたしを交互に見て、状況を把握したようだった。
「そういうことね」
「……っ!?」
ニコッといつもの笑顔を浮かべた神風くんは、わたしの頭の上に手を置いた。
「この子は───」
喋る言葉に合わせて、ポンポンと触れられる頭。
ドクンドクンと大きな音を立てるわたしの心臓。
じんわりと熱くなる体。
神風くんの続ける言葉を待つ、クラスメイトからの熱い視線。
「みんなよく知ってる澪だよ?」
神風くんがそう言うと、こんなことが本当に起きることがあるのかと疑ってしまうくらいに揃った、クラスメイトの驚きの声が聞こえてきた。
「……ほ、本当に七瀬さん?」
信じられないという顔で聞いてくる。
わたしはただ、こくんと頷いた。
それを合図にまた空気がざわつき始める。
「澪、可愛くなったでしょ? みんな改めてよろしくねーっ」
……可愛い?
神風くんが可愛いって言った?
昨日は濁しながら「いいんじゃない?」としか言わなかったのに。
例え、この場だけの言葉だったとしても───胸がきゅんと音を立てたのは紛れもない事実。
「ほら、もっと自信持てよ」
離れる瞬間耳元でそう囁かれて、何故かドキドキが治まらなくて、神風くんのことを見ることができなかった。