【新説】犬鳴村
「亮ちゃん、こいつの分も買ってきたけど。」
「優しいとこあるじゃんか育夫。」
「ほら、縄解いてやるけんお前も食べろ。」
「え?…よかと?」

「孝夫さんはまだまだ帰ってはこんけん。」
そう言って賢治を縛っていた縄を育夫が解《ほど》いた。

「お前もついとらんなあ。」
「…」
「あげな良か車乗るけんや。」
「お前が軽トラやったら、こげなことにはなっとらんやったとになあ。」
「一応、食ったら縛るけん、はよ食えよ。」
「うん…」

 弁当を食べ終わるとさきほどの木に縛られた。それでもかなり気は楽にはなっていた。

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