もふもふになっちゃった私ののんびり生活
藪の中で見たのは、穴からう突き出てうにょうにょ蠢くミミズのような姿の生き物だった。
でもあくまで見た目がミミズに似ているというだけで、大きさは今の子犬な自分の身体くらいもあり、太さもふさふさな自分の尻尾程もあったのだ!
あれって、所謂ワームってヤツなの?そうしたら魔物、だよね?ええっ、ここにも魔物がいるのっ!?
わたわたと行ったり来たりしつつ、ゴクリと唾を飲み込んでまたそーーっと藪を覗く。
覗いた藪の中には、やっぱりさっきと変わらずにうにょうにょと蠢くミミズのような姿があった。
あっ、でも、そういえば私に反応していないよね。……ただの虫?うーん……。でも、例えあれが魔物だったとしても、この様子だとこっちからちょっかいを出さなければ反応もしなさそうだから無害だからいいか。
さっきまではあれ程ビビっていたのに、自分に害がないと分かるとそのまま無視して食べ物探しを続けることにした。
やはり転生して生まれ変わった影響か、どうも物事を深く考えられない。その時その時の気分で行動してしまう。
まあ、そこはやはりまだ生まれたばかりの子犬、ということなのだろう。
フンフンフーンとなんだか楽しくなって足取り軽くふんふん匂いを嗅ぎながら進んでいると、大木が見えなくなる程遠くまで来てしまっていた。思ったよりも脚がしっかりしてきたらしい。
ふと、その時。何で気が付いたのかは後になって思い返しても分からなかったのだが、その時は何故か何かの気配にふと気づいたのだ。
そうしてふらふらとその気配の方へと歩いて行ってしまったのだった。