もふもふになっちゃった私ののんびり生活
バシュッ!!
殺しきれなかった衝撃波は、目の前で見えない何かの幕にぶつかった。そうしてその幕に吸収されるかのように、立ちどころにその衝撃波は消えていた。
それが気に食わなかったのか、戦闘していた筈の二匹ともがこちらへ向かって来ると、その幕を殴りつける。
グワァンッ!!
その力を語るかのように、ビリビリとした地鳴りと共に音が響く。
目の前に迫った大きな手に瞬間的に目を閉じたが、目の前に先ほど衝撃を吸収した幕が隔て、こちら側へは決してその手は侵入することはなく。
そのままガンガンと続けて見えない幕をしばらく殴りつけた二匹は、どうやってもこちら側へと入れないことを悟ると、お互いの戦闘を再開して戦いながら去って行った。
その間、私はコロンと転がって尻尾を足の間に挟んで腹を見せる体勢のまま、ビクビク震えながら硬直していた。
やっと身動きがとれるようになったのは、辺りが薄暗くなり、吹きすさぶ風にクシュンとくしゃみが漏れてからだった。
……なに、あれーーっ!?あれが、魔物?なら、こっち側で魔物に今まだ襲われなかったのは、やっぱり神様があの幕、結界か何かを張ってくれていたからで、この結界の外の森には、あんな魔物が闊歩しているってことなの!
ぶるりと冷気以外の寒気に震え、毛皮だけど全身に鳥肌が立っているような心地になる。
それでもこのままここで夜を過ごすのは怖すぎて、やっとよたよたと来た方向へと引き返し始めたのだった。
その時にはもう、自分の中から出た何かのことは、すっかり忘れ去っていた。