【完】イミテーション・シンデレラ
「忙しくって、また中々会えないね」
「そうね…。」
雑誌を床に置いて、昴がこちらに近寄って来る。
右手を伸ばし、私の長い髪をさらりと撫でる。 どうしてこの人って、こんなに優しく触れるんだろう。
ジーっとこちらを見つめて、目を線にし口を大きく開けて笑う。 体が熱くなる。 そんな目で、見ないでよ…。
「何よ!何触ってんのよ!」 照れくさくて、こんな言い方しか出来ない。 けれど昴は怯むことなく、私の体を持ち上げて自分の膝の上に乗せる。
「ちょっと、誰か来たら…」
「大丈夫。スタジオ内は芸能記者もいないよ」
「そういう問題じゃなくって…キャッ…」
首筋の唇が近づいて、昴の息がかかる。 マジでこいつ何考えているか分からない。 あの酔っぱらってやっちゃった夜から、何かがおかしい。
「良い匂い。 やっぱり飴玉の匂いがする。
俺、この匂いすごい好き」
唇が、鼻先が、体をなぞる。その度に体が反応していく。
「こ、香水の匂いじゃないかしら…」
「何の香水?」
「…ぷ、プラダのキャンディ…」
「キスしたくなる香りだな。」