【完】イミテーション・シンデレラ

「お嫁さん!」

私のその発言に何故か類くんは笑いだしてしまった。 そんなに笑われたら言っている自分の方が恥ずかしくなってしまう。

アイドルを卒業した後は、ちょろっと仕事をしてサーっとさっさと結婚して退散してしまおうと思っていた。

真央の事は言えない。私だって豆腐メンタルだ。 精神的に強くない人間に、この業界は向かない。

「じゃあ、俺のお嫁さんになる?」

覗き込むように大きな瞳が悪びれなく瞬く。
やっぱりこの人、かなりちゃらいと思う!

「とはいえ、俺と結婚となると軽く10年後とかになっちゃいそうだけど!」

「そりゃあそうでしょう。あんまり冗談言わないでよッ」

LUNAは現在売り出し中のアイドルだ。 近年男性アイドルは女性アイドルよりずっと息が長い。

それと引き換えに、結婚は仕事上中々許されないだろう。 20代で結婚する人なんてごく稀ではないか。 普通の結婚や恋愛を引き換えにして、この世界で輝いていく。

得る物があれば、失い物も同じだけある。 いや失う物の方がずっと多いかもしれない。

それにしても結婚なんて、全く冗談にしても質の悪い。 そんな大きな綺麗な目で見つめられると、不覚にもドキドキしてしまうではないか。

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