【完】イミテーション・シンデレラ
「もしかして、南条岬さんですか?」
「え?はい…そうですけど…」
笑ってそう答えると、お兄さんはパアっと顔が明るくなり、手を差し出した。
「やっぱり…!SARARAのッ。親父、やっぱりそうだって言っただろう?
うわあー、俺ずっとファンだったんです。握手してください!
妻や子供ともよくテレビで観るんですよ。 うわーこんな所で会えるなんて感動しちゃうなあ」
「おお、テレビで観るより可愛いな…。
すいません、私静綺の父親なのですが岬さんのファンなんですッ」
「おいおい、親父は良い歳なんだからやめろよな。
その歳でアイドルのファンとか息子として引くわあ~…」
「なッ!歳は関係ないだろう?
私は岬ちゃんのソロシングルも買ってるんだぞッ?!」
「へ…え、ははは。ありがとうございます」
何故かここで父兄の言い争いが始まってしまう。 静綺の家族って…もしかして全員ミーハー?
当の本人は芸能界に興味がなかったらしく、グリュッグエンターテイメントの寮でバイトをするまで真央や昴の存在も知らなかったらしいが。
そんな家族を本日の主役は恨めしそうに見つめている。 静綺の父兄に囲まれたじたじしている私を、昴は可笑しそうにニヤニヤ笑って見ていた。