【完】イミテーション・シンデレラ
「大丈夫。それって超幸せな未来じゃん?不安がる事ないよ。
静綺ちゃんが大好きな真央がもうひとり居るって幸せな事じゃん。
幸せが二倍になるだけだよ…」
優しい口調で昴が言うと、静綺は目をぱちぱちと瞬かせた。 さっきまで不安そうな表情を浮かべた静綺が、ぱあっと顔を明るくさせる。
「そ、そっか。だよね。そういう考え方もあるよね。さすが昴さんッ」
口が巧いと言うか、人を騙すのが得意というか
それで納得しちゃう静綺の脳みそも単純なものだけど
私も昴の言葉には同感だ。 きっと幸せになれる。 今よりずっと、幸せは二倍に悲しみは半分に。結婚って、多分そういう事だよね。
全くの他人と、家族になる。 その中で生まれていく命は温かいものだ。
何だかんだ言って幸せそうな静綺を見て、浸っていると――。
「静綺ちゃぁあああんッ。
クレアちゃんのご機嫌はいかがあ?!」
小鳥の囀りのような愛らしい声が響き、再び控え室の扉は開かれる。
その声に反射的に身構えてしまう。
キラキラとしたオーラを身にまとい、どう見ても20代にしか見えない美しい顔立ちとスタイル。
それに加え、甘い声。 この女は、私が人生で出会った苦手な女ランキング5位までに確実に入って来る魔女である。