【完】イミテーション・シンデレラ

――――――

4月のチャペルのお庭には、桜が咲き誇り 小鳥の囀り。
ステンドグラスが、太陽の陽に照らされてキラキラと光が飛び散って行く。

オルガンの静かで力強い音が室内に響き渡る。
白いタキシードを着た真央が、神妙な顔つきで教会内に入って来る。


そして再び扉が開くと、ベールを身にまとった静綺が父の腕を組みゆっくりと歩いてくる。少しだけ緊張をしているのか、表情は硬い。

アヴェ・マリアの歌声が優しく揺れる。

まるでドラマの撮影現場のようだ…。ロマンチックで、素敵…。 やだ。何か目頭が熱くなっていく。


父の手から、真央の手を取って、ふたりは少しだけ顔を見合わせて同時に笑う。 ふたりの後ろ姿を見つめながら、もうその頃にはぼろぼろと涙がこぼれていく。

慈しみ深きは涙でぼろぼろで歌えなくなっていた。 そんな私の隣で昴は笑いながらハンカチを差し出した。 そして人から見えないように後ろ手でぎゅっと手を握り締める。

神父さんの言葉が耳をゆっくりと揺らす。

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