【完】イミテーション・シンデレラ
そんなの馬鹿らしい。
昴の元カノだって知っている。
芸能人だって恋をする。普通の人間と同じだから、普通に恋をして恋愛をする。
昴程モテるタイプの人間ならば、特定の彼女じゃなくたって、遊んでいる女もいるのかもしれない。 だって私昴の事知っている様で何も知らない。
昴はいつも私の話を聞いてくれるけれど、自分の事や恋愛事情は余り話さないから。
「はぁー…」
狭い洗面所内に自分のため息だけがやたら大きく響く。
どうしてため息なんて…。
冷静になれ。やってしまったものは仕方がない。あの様子ならば、昴だってさっして気にしてはいない。私ばかり意識してるのは馬鹿らしい。
だって昴は静綺が好きだったし、私は真央の元カノ。昴にとって恋愛対象になる訳ないんだから。
ワンピースを手に取りリビングに向かうと、キッチンに立って鼻歌を歌っている昴が居た。 黒色のティシャツとスウェットはお揃いで、ペアルックみたいで恥ずかしくなる。
「何…してるの?」
「うどん作ってる」
「うどん?!」
人気俳優がうどん?
とはいえ、昴は何をするにも器用な男で、こうやってさらりと料理までこなしてしまう。