【完】イミテーション・シンデレラ
ちっ…。何で記憶ないんだろう。
久しぶりだったのに。
ここ数年所属していたアイドルグループSARARAの人気はうなぎのぼり。
目が回る程忙しかったせいもあり、恋愛は後回しにしてきた。そもそも芸能人って時間が不規則で、休みも決まっていない。公休があるわけでもないし、案外出会いも少ない。
女ばかりのアイドルグループならば、なおさら。
だから久しぶりにしたセックスのはずが、記憶にもないなんて最悪。
見てみたかった…。昴がどんな風に女性を抱くのか。きっと…優しく女の子を扱う。紳士的な性格のあいつの事だ。
いつもは笑ってばかりいる昴が、どんな表情をするのか…って!私のバカバカバカ!
一体何を考えているのよ。これじゃあまるで、昴の事が好きみたいじゃない。
昴の事なんて、全然好きじゃない。男として意識していない。
静綺がいつも私と昴はお似合いなんて言うから、したくもない意識をしてしまっていた。
昴も昴で、じゃあ俺と付き合ってみる?なんて冗談でも笑えない。
帰り道。悶々とした気持ちを抱いたまま、二日酔いでガンガンする頭は優しいうどんの味と昴の事でいっぱいだった。