かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


緒方さんを紹介しようとしたことを、たぶん、桐島さんは怒っていたんだろう。
でも私が緒方さんからの紹介を引き受けたのは先週の話で……桐島さんと話すようになってから一週間も経たない頃だ。

しかも、実際には桐島さんとの仲を取り持つ前に私が断っている。

桐島さんの了承を得ずに勝手に引き受けたのは悪かったにしても、直接的な迷惑はかけていないのに怒るほどのことかな?と首を傾げたくなる。

そんなに沸点の低い人じゃないと思うけれど……と考えたところで、桐島さんが言った〝誤解〟の単語が頭に浮かんだ。

つまり、実は結構怒りっぽいだとか短気ということを言いたかったんだろうか。

『俺がこんなにあからさまに気にかけてるってわかりながら、他の子を紹介しても怒らないと思ってた?』

そう聞かれてから五日。
〝俺がこんなにあからさまに気にかけてる〟という部分については……考えるたびに顔を両手でおおってしゃがみこみたくなる状態が続いている。

桐島さんは『宿題』なんてサラッと冗談みたいに言っていたけれど、私にとっては大事件で、この五日間、あの言葉は重大トピックスとして一番上に上がったままだった。

そんな状態なので、当然桐島さんと平気な顔をして会えるはずもなく……白状すると少しだけ意識して避けていた。


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