かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました
「この間はあんな風に言いましたけど、桐島さんと川田さんの過去に、私に口を挟む権利はありません。それに桐島さんは気にしていないって言ってましたし」
「だとしても……相沢さんだって不満はあるでしょ。私だって、謝って許される問題だとは思っていないわ。謝ったところで自分が解放されて楽になるだけだとも思うし。それでも、桐島くんを見かけちゃったら謝りたいって衝動が止められなかったのよ。ずっと後悔していたから」
この間とは違い、棘の抜けたような態度の川田さんに内心驚いていた。
どっちが彼女の素なのだろう……と勘繰りたくなったけれど、目の前にいる川田さんが演技をしているとは思えない。
きっと、どちらの川田さんも嘘ではないんだろう。
『それで、本題はなに? 私に謝れって言いたいの?』
川田さんは、最初にそう言った。
謝るなんて言葉が出たのは、以前私が言ったことを、川田さんは覚えていた証拠だ。
『今日はもしかしたら謝罪のために桐島さんを誘ったのかなとも思ってたんです。ずっと後悔していて、そんな時たまたま桐島さんを見かけて咄嗟に声をかけたのだとしたらあれだけ強引に誘った川田さんの気持ちもわかるなって。でも……今までの感じからして、違いますよね。謝罪が本題だったら、私を少し邪魔には思ってもあんなに敵視しない』
そう言ったことを覚えていたからか、私が言うまでもなく、あの事件以降ずっと気にしていたのか。
でも……だとしたら川田さんは相当不器用な性格だなと思う。
好意を抱いている上、謝りたいと思っている桐島さん相手にあんな態度をとっていたのだから。
私もなかなか素直にはなれない性格だけれど、もしも私の推測が正しかったら川田さんは私の上をいく面倒くさい性格の持ち主だ。
「ひとつだけ聞いてもいいですか?」と確認してから聞く。