東京ヴァルハラ異聞録
「つれないなあ、名鳥。俺は黒井だよ。ただし、『ビショップ』という別名もあるがな」


ビショップだって?


名鳥から聞いていたのと、形状が違う。


巨大な蛇ではなく、鳥のような。


「ビショップ……黒井を食ったな?あいつの力を取り込んだか。だったらお前は敵だよね。遠慮はしないよ」


「悲しい。悲しいぞ名鳥!お前ごときが俺の相手にでもなると思っているのか!?だとしたら、とんだ思い上がりだ!お前が喧嘩を売ったのは神だぞ!!」


そう、気分良さげに叫んだビショップはランスを取り出した。


その武器こそが、黒井であるという証明になってしまう。


調査に出た黒井は……卵に取り込まれてしまったと言うわけか。


「本当に残念だよ。この街では、仲間としてやっていけると思ったのにさ」


小さくそう呟いた名鳥が、ショットガンをビショップに向けて引き金を引いた。




ドゥンッ!!




という音と共に、散弾が発射された。


だが……俺が見た光景は、ビショップが撃たれたものではなくて。


背後から名鳥がランスに貫かれ、ビショップの頭上に掲げられている姿だった。


「ビショップが俺を食った?違うな。力を手に入れる為に、俺がビショップの力を食ったんだ!人間の限界を超える為に!!」
< 727 / 1,037 >

この作品をシェア

pagetop