東京ヴァルハラ異聞録
「ぐはっ……皆……逃げろ」


あの名鳥を、一瞬で仕留める程の強さ。


突き刺さった名鳥を、ビショップがランスを振り、スカイツリーの下へと投げる。


この高さでは、落ちれば助からない。


わかっていても、俺の足は動かなかった。


戦わなければならないのに……死を覚悟してしまったから。


「震えてるな?安心しろ、お前のようなカスに興味はないからな。そこで、震えてこの世界の終焉を見ていると良い」


俺の肩にポンッと手を置き、ニヤリと笑って通り過ぎたビショップ。


戦う相手としても見ていない。


カスと言われても、悔しくなかった。


高山真治に鍛えられたというのに、それでも絶対に勝てないという思いの方が強くて。


「助かった」と心底安心してしまった。


レベルが違いすぎる。


ルークを倒すのも、北軍の人間と協力してやっと倒したのに。


ビショップがそれよりも強いとなると、一人で挑んで勝てるはずがない。


名鳥が引き金を引けたというのが信じられないくらいだ。


ビショップは、背中の翼を羽ばたかせて上昇した。


「フハハハハハハハッ!!畏れろ!崇めろ!俺が神だ!!秋本!!貴様がいくら強かろうと、神に勝てるはずがないっ!!」
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