東京ヴァルハラ異聞録
高山真治や篠田さんだけじゃない。


梨奈さんや黒井、俺と一緒に戦った人達の想いを受け継いでいるのだから。


「何よそれ……私が間違ってたっていうの?昴くんを信じて、ずっと付いて行っていれば、私も強くなれたって言うの?」


顔を手で覆い、どうすれば良いかわからないと言った様子で首を横に振る。


この人に、俺は何と言えば良いのだろう。


一度は敵になり、戦った関係。


混乱しているようだし、あまり強くは言えないな。


「今からでも、きっと強くなれますよ。これからは皆の力が必要なんです。バベルの塔に向かう為に。だから、美佳さんも力を貸してください」


これが、今の俺が言える精一杯の言葉だ。


美佳さんに手を差し伸べ、宥めるような口調でそう話した。


「皆の力が……必要?私の力も必要なの?」


「ええ。皆が力を合わせないと、きっとここからの戦いは勝てない。誰か一人でも欠けるのは、大きな痛手なんです。だから、美佳さんも」


「……わかったわ」


拙い説得だったけど、美佳さんも理解してくれたか。


そう思って、ホッと吐息を漏らした時だった。


俺の手を掴んで立ち上がった美佳さんの左手に矢が握られていたのだ。
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