東京ヴァルハラ異聞録
「誰か一人でも欠けたら無理なら、あんたが死ねば無理だよね!!じゃあ死ねっ!」


狂気に満ちた目を俺に向け、矢を俺の額目掛けて振り下ろしたのだ。


右手は強く握られ、振りほどいてから日本刀を握るには僅かに時間がかかる!


だが、そんな俺よりも早く動く影。


視界の左側にいた川本が、美佳さんの脇腹を殴り付け、腹部を吹き飛ばしたのだ。


「馬鹿野郎!!昴が与えた最後のチャンスを潰しやがってよ!救えないやつだな、お前は!!」


川本の一撃で、上半身と下半身が分断された美佳さんが地面に転がる。


「がはっ!!昴くん……あなたの顔なんて二度と見たく……ないわ。元の世界に戻すっていうなら……戻してみせなさいよ。私が生き返る前に……」


そう言うと、美佳さんは光の粒に変化した。


どうしてこんな時にまで、同じ軍同士で殺し合わなきゃならないんだ。


わかってはいた事だけど……俺って結構恨まれてるんだな。


さすがにここまで嫌われてると落ち込むな。


「昴くん……お久しぶりですね」


「久しぶりです、マスター。えっと、ここには二人だけですか?」


もっと大勢を率いて侵攻しているかと思ったけど、たった二人だけとは予想外だった。


「ええ、戦える者は朝倉さんに付いています。まあ、あの災害で、多くの方が命を落としましたが」
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