東京ヴァルハラ異聞録
「伊良さんと朝倉さんが、西軍を制圧する為に北上してる。私とマスターは、ゼロ・クルセイダーズがいたこの辺りから北上する予定だったんだけど……昴がどうにかしてくれるってマスターがうるさくてさ」


俺の顔をチラチラと見て、照れ臭そうに話をする川本。


そうか、考え直してくれたんだな。


今は敵軍だからって争っている場合じゃない。


皆が協力しあわなければならない時なんだから。


「ありがとう、マスターも川本も。俺なんかに何が出来るかはわからないけど、信じてくれて嬉しいよ」


そう言い、川本の手を取ると、なぜか顔を真っ赤にして。


「バ、バカ!お前が何か出来るなんて思ってないよ!でも……少しは信じたいと思っただけで……その……」


慌てて手を離し、俺に背中を向けてそう呟いた。


「私達は考え直しましたが、恐らく朝倉さんと伊良さんは止まりません。それぞれ信念を持っておられる方々ですから。私達に構わず、そちらの方に行くべきかと思いますが」


「そうですね……でも、俺の仲間達が向かっています。頼りになる人達ですから、きっと大丈夫だと思います」


俺が行かなければダメな人達ではない。


とりあえず向かいはするけど、それほど心配はしていなかった。
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