東京ヴァルハラ異聞録
影は……四つ。


それらが地面に着地し、顔を上げて月影と朝倉を交互に見た。


「……やれやれ。結局はこうなってるのかい。人間ってのは罪な生き物だね」


「でも、一緒に戦う事は出来るはずだよ。私達がそうでしょ?」


名鳥、そして沙羅が呟き、月影と朝倉は距離を取り武器を構える。


こんな時に、北軍と東軍まで乱入してくるとは運がないと、月影は顔を歪めた。


だが、朝倉は驚いたような表情に変わり、残る二人の影を見て声を上げた。


「あなた達……侑樹ちゃん!光輝くん!どうして敵と一緒に……」


月影は全員が敵と認識をしたけれど、朝倉と南軍の人達はそうじゃない。


突如現れた敵の中に、南軍の人間が混じっていたのだから戸惑いもする。


「朝倉さん、武器を納めてください。私達は敵ではないし、本当に戦うべき相手は人間じゃないはずです!」


桜井が前に出て、そう声を上げたが、朝倉は武器を構えたまま。


それは当然の行動と言えた。


敵の中に仲間がいて、その仲間が武器を納めろと言っているのだ。


何かの罠かと考えても仕方がない状況だ。


「言ってる事がわからないわね。だったら私達は何と戦えと言うの?頭の良い侑樹ちゃんはすぐに納得出来たかもしれないけど、私には守らなければならない人達がいる。突然言われて、はいそうですかというわけには行かないのよ!」
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