東京ヴァルハラ異聞録
朝倉の背後に控える南軍の人達を考えての事だろう。


その気持ちもわかったから、名鳥と沙羅は何も言えなかった。


これは、街全体の問題ではあるけれど、細かくわければ南軍と西軍の問題でもあるのだから。


「ちょっと待ちなさいあなた達!いきなり現れて、どういう事?あなた達に戦闘の意思はあるの!?」


平時ならば、極めて馬鹿げた質問だが、この状況があまりにも特殊過ぎて、月影はそう聞かずにはいられなかった。


「えっと、月影ちゃんだよね?俺は名鳥順一。こっちが黒崎沙羅で、んでもって桜井侑樹に桐谷光輝……」


「名前を聞いてるんじゃありません!あなた達に戦闘の意思はあるのかどうかというのを聞いているんです!返答次第では……」


この数が相手では、とても勝てない。


相手の力量がわからないほど月影は弱くはないし、この状況がいかに絶望的かという事もわかっていた。


それでも、これ以上西軍を侵略させないという強い気持ちだけはあったから。


「ま、そんな肩に力を入れなさんな。俺達は、昴の仲間だよ。一緒にバベルの塔を目指す仲間だ」


月影の肩をポンッと叩き、タバコをくわえながらニカッと名鳥が笑って見せた。
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