東京ヴァルハラ異聞録
そう言い、クルリと身体を横に回転させた名鳥。


手には槍が握られていて、朝倉の右側から襲い掛かる!


既に槍を突いていた朝倉。


防御は間に合わないが、それよりも早く敵を打ち貫ければと、さらに踏み込む。


だが、名鳥の槍の方が速かった。


無数の刃に変化した槍を、横から薙ぎ払って回避したのだ。


そしてさらに半回転し、ショットガンを朝倉の頭部にピタリと付ける。


「……違う。これは残像?」


昴や秋本のような完成度の高い物ではなかったが、一瞬戸惑わせるには十分なものだった。


本物の朝倉は、残像の僅か1m横。


それでも、このレベルの戦いにおいては、惑わされるのは死を意味する。


「もらった!」


「くっ!」


立場が逆転。


朝倉の攻撃に対し、名鳥は後ろ手に槍を操り、何とか弾き、身体を回転させて正面を向く。


「思ったよりもやるじゃないの、朝倉ちゃん」


「あなたも……ゲイボルグをこうも防ぐ人がいるなんて。正直、あなたという人を過小評価していました。いや、私自身を過大評価していただけかもしれないわね」


その言葉に、名鳥はニヤリと笑ってタバコを地面に落とした。
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