東京ヴァルハラ異聞録
「じゃあ……少し本気を出そうかな?」


「今までが本気じゃないとでも?冗談は言わないで!」


お互いに武器を構え、相手の動きを警戒して動きを止める。


ほんの僅かな動きが、お互いにとっては攻撃に転じる機会となる。


そんな、ピリピリとした空気が漂っていた時だった。


「……なに?この感覚!!空から……何かが落ちてくる!!」


月影が突然、バベルの塔を見上げてそう声を上げたのだ。


「空からって……何も見えないけど、この人どうしたんだ?」


光輝も空を見上げて、不思議そうに漏らした。


「誰も……何も感じないの?この不快感。ビショップと同じような圧迫感!」


「こんな時に冗談ならやめてほしいわね。まさか、またあの光が降ってくるとでも言うの?」


桜井が尋ねると、月影は首を横に振って。


「違うっ!でも、それと同等の厄災を運ぶ者……来るっ!!」


そう、月影が叫んだ瞬間、空から巨大な塊が、バベルの塔の根元に落下した。


その衝撃は地面を伝わり、激しい地震となって襲い掛かる。


「うわっ!!なんだこいつは!!朝倉、戦闘は中断!」


「え、ええ。一体何が起こったというの?」


武器を構えていた二人でさえ、この揺れに耐え切れず、その場に倒れて辺りを見回した。
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