東京ヴァルハラ異聞録
深々と頭を垂れた三原。


それを、伊良はジッと見たまま唸って。


「三原……わかったよ。お前が元の世界に戻れるって言うなら、俺はそれを信じるよ」


予想に反して、あっさりと承諾してくれた伊良に、秋本も恵梨香も驚いた表情を浮かべた。


無理もない。


南軍最強クラスの実力を持つ男が、こうもあっさりと理解してくれたのだから。


「ありがとうございます!」


「まあ、元々西軍を乗っ取るなんて、ついでみたいなもんだったからな。キングを破壊すれば元の世界に戻れる。でも、皆で戻れるならそれに賭けてもいいって思っただけだ」


その言葉を聞いて、明はフッと笑って見せた。


この街には、色んな想いの人達がいる。


ただ、戦いを楽しんでいる者や、生きる為に仕方なく戦っている者。


話が通じる人も、通じない人もいる。


そんな中で伊良は、味方とはいえ三原の説得に応じてくれた。


「なんだよ。せっかく伊良と戦えると思ったのによ。不完全燃焼もいいとこだぜ」


「まあそう言うな秋本。戦わずに仲間になるなら、それに越したことは……むっ!?」


そこまで言って、恵梨香は何かに気付いた。


自分達がいる道路の先……異様な力を放つ男がこちらに近付いている事に。
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