溺愛フレグランス
「晴美さん、私達の親より上の人達って、離婚率が低いですよね?
昔だからっていうより、やっぱり気が合ったんだと思うんです。
いわゆる精神的にも身体的にもマッチしてるってやつ」
由良ちゃんは本当に頭がいいと思う。
でも、ちょっと理屈っぽいところがたまに傷で、マッチングアプリで知り合った人とも、何度か回を重ねて会うごとにダメになる事が多かった。
それでも、私は由良ちゃんが好きだ。
由良ちゃんにマッチングアプリを教えてもらってから、私のつまらなかった人生が少し明るくなった。
男性を意識しながら生活する事が女性にとってどんなに必要な事か、今、身をもって感じている。
「今のところ順調に進んでる。
来週の週末あたり、会う事になるかもしれない」
「いいな~
晴美さんのその慎重な性格がいいのかもしれないですね。
私なんて、すぐに会ってどんな人か確かめたくなっちゃうから」
私が肩をすくめて笑うと、由良ちゃんはまた後でと言って颯爽と自分のデスクへ戻って行った。
私も自分のデスクに座り今日の午前の分の郵便物を見てため息をつく。そして、コロナ渦のため近くにある窓を半分だけ開け風通しをよくした。
“今日も一日頑張ろう”と心の中で囁きながら。