翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「翔ちゃんが……元気そうでよかった」

ぼそっと呟いた。

「美緒こそ今日1日なんともなかった?」

「うん、全回復!」


だからもう私のことは気にしなくていいよ、って思ってるのに、口にはなかなかできない。


翔ちゃんの顔を見れない。
見たらいやでも奥寺さんの顔がちらついてしまう。


でも翔ちゃんが待っている。
私が歩き出すのを。
それがわかって少し胸が苦しい。


「雨上がったか」

「ほんとだ」

もうあの細い雨すら消えかけている。
神様はやっぱり相合い傘すらゆるしてはくれないんだなぁ、って思ったら鼻の奥がツンとした。
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