翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「よかったね、長くお世話してた樹に初めて桃がなったくらいの幸福感なんだろうね」


ニコニコ笑って祝福してくれる岡崎君はなんだか詩人だ。


「岡崎ってそういう台詞がキモくないところが不思議だよねー」


ほんと華世ちゃんの言うとおりだった。
彼にはなんていうか、育ちの良さを感じてしまう。


「でもさ、桃は熟すのも早いし傷みやすいから気を付けて?」


一度持ち上げといて最後はこんなふうに毒を吐くところも、もはや岡崎節だ。


「ね、二人が付き合い始めたってことは、岡崎って今こそがチャンスなんじゃない?」

「もちろん言われなくてもわかってる」


華世ちゃんの問いかけに岡崎君はなんのためらいもなくそう答えた。
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