翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「なんで岡崎と……バイトは?」


聞いたことのない抑揚のない声で言われて
全身の血の気が引いていく音を聞いた。


「宮辺、違うんだ。これは━━」


「先に美緒と話したい。なんで岡崎の服着てんの?」


翔ちゃんは慌てて立ち上がった岡崎君ではなく、私を見て静かに問いかけた。
でも、喉が塞がって、なかなか声が出てこない。


「……理由、言えないんだ?」


今彼の目に写るのは、岡崎君の体操服を着た私。しかも慌てて部屋を出てきたせいで、足元までもが岡崎スリッパだった。


私は今、翔ちゃんの前で
あり得ない姿を晒しちゃってる。


「あの、えと……」


どうしよう、何か言えばきっとちぇりこ先生の秘密に繋がってしまう。


「勘違いしてるよ宮辺。これにはちゃんと理由があって」


「ダメだよやめて岡崎君!」


岡崎君が説明をしようとするのを、慌てて止めた。

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