翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「私から話そうか?」
「やだなぁ、子ども扱いしないでよ」
岡崎君も何度も同じ事を提案してくれた。
何やってるんだろう、私。笑おうとすればするほど、泣きそうになってしまう。
端から端の教室で、私たちが偶然廊下で会う確率なんてゼロに近かったんだって気がついた。
会いに行ったり、会いに来てもらわなきゃ、私たちの時間は重ならなかったんだ。今回のことで、それがよくわかった。
よくわかったから、尚更寂しい。
翔ちゃんの顔が見たい、声が聞きたい。
隣に行きたいし、ちゃんと説明したいよ。だけどどんなふうに声を掛けたらいいのか、もうよくわからない。
もしすれ違っても、無視されるかもしれないと思ったら、立っていられないくらい体が震えた。それが怖くて、名前なんか呼べそうにないの。