翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「華世ちゃん、もう帰ろ。あっ、彼氏と待ち合わせしてたっけ」


「いいよ、彼には先に帰ってもらうし」


「わたしなら平気だって、もう慣れたもん」


「こんなときに強がらなくていいの!普段はすぐ甘えてくるのに、肝心なときは無理するんだよね美緒ちゃんは」


ぐっと、唇を噛む。


「……そんなことないもん」


「へんなとこで頑固なんだから」


無理がバレバレなのか、
華世ちゃんは優しく私をハグしてくれた。


「華世ちゃんわたし、翔ちゃんに好かれてるのが当たり前で、何したって許されるっていい気になってたんだよね」


華世ちゃんの胸で思いを吐き出してしまった。


「そんなことないよ、勘違いさせてしまっただけじゃん。宮辺君は状況が何もわからなくて戸惑ってるだけだよ」


「うん……でも何をどうすればいいのか、もうよくわかんなくって」


「大丈夫、きっと大丈夫だよ」


彼の隣でその横顔に見とれることも、なんでもないことで一緒に笑いあえることも、奇跡のような一瞬だと知っていたつもりだったのに、いつの間にか幸せに慣れすぎてしまってたんだ。


こんなにつらいなら、ずっと片想いのほうがマシだった。
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