翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「もう、先生こっち向いてよ!」


「なんだよ人が真剣に考え事してんのにごちゃごちゃうるさ……わぁ!」


差したばかりの傘を閉じて、また人の傘に潜り込んできたと思ったら、今度は腕にしがみついてきた。


「そのポーカーフェイス崩壊させなきゃ気がすまない!」


「バカやめろ!受験失敗したくないならそんな頭の悪いことすんな。彼氏が泣くぞ」


江森の無邪気さに少し腹が立った。


「あいつと別れたら先生が彼氏になってくれたらいいんじゃん?今日でお別れなんて悲しいし、先生は岡崎さんと別れたんじゃないの?」


「……今なんて言った?」


そのワードは強烈な破壊力となって俺の平常心を乱した。

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